顔面神経麻痺
 
顔面神経麻痺を考える25
 顔のしびれを伴うもの
  三叉神経の損傷による知覚障害
      
 こんた治療院

 

 軽度ではあるが、臨床的検知から三叉神経への損傷があるケースがある

 末梢性顔面神経麻痺の原因における、ラムゼイハント症候群に関して、いくつかの合併として他の神経をも同時に水痘ウィルスが損傷させるケース(三叉神経、反回神経など)もありますが、それを脳神経外科分類では、末梢性脳神経総合症という診断名で表しています。
 しかしながら、一般的な末梢性顔面神経麻痺のみのラムゼイハント症候群でありながら、そうした中で私が臨床中によく目にするのは、顔面神経麻痺と共に三叉神経も軽度の損傷を受けている可能性のあるケースです。
 末梢性顔面神経麻痺になると、とりわけラムゼイハント症候群の場合には、顔が動かなくだけでなく、同時に顔面部の痛みを訴える(三叉神経痛)を併発する方もいます。この様に、三叉神経も深い傷を水痘ウィルスによって負わされるのですが、実はそこまで痛み症状を訴える深い傷を与えないものの、明らかに痺れ(しびれ)症状を訴える方がいます。また、明らかな痺れは無くとも、治療過程で三叉神経の問題もあったのではと思われる事例が非常に多く、今回のお話はその事について書いてみたいと思います。

 理論的解釈が必要になる

 上記の内容において、医学的解釈が必要になるために、まずは三叉神経が知覚障害を起こしているという事を、事実上はっきりさせなければなりません。そのためには、顔面神経麻痺も無く,顔に痺れ(しびれ)を訴えるケースがある事を皆さんに,ご紹介します。このコンテンツは、「顔の痺れを考える」に載せております。
 実は、私はこの様な、顔のしびれだけの治療のケースも多く治療しており、医師も検査上(CT、MRI)で器質的問題が神経に無いと、医師は水痘ウィルスに着目し、抗ウィルス薬と痺れ症状が強い患者にはテグレトール(抗てんかん薬、三叉神経痛にもしばしば使われる)を投与してくるのです。
 この様に、単独で麻痺症状も無く、顔の痺れが起こるケースがあるという事を理解いただけると思います。

 知覚の異常もあったことが治療を介して判ってくる。

 初期の発症から間もない患者において、鍼治療をして数回経つと、鍼の刺入のチックとした感じが、判る様になってくる事をしばしば体験します。この現象は、非常に興味深い意味を持つと臨床の当初から感じていました。しかしながら、当初は臨床経験の不足による刺入のバラつきもあるのではと、自分自身を疑いの1つとして候補にもあげてきました。それは27年前の自分にです。
 しかしながら、その理由はそうでは無いと理解できたのは、約25年程前に「顔のしびれ」の治療を担当した時からです。やはりその患者は、当時私が勤務していた病院で精密検査を受けて、脳外科からオーダーが届き治療を私が担当する事になりました。もちろん精密検査の内容データは総てノープロブレム。唯一、血清検査をしていない事を除けば。今となっては血清検査を当時オーダーしていたらと思うのですが、正直に当時はウィルスについての知識と病理に関しては、今より少なかったというのが残念だった事ですが、何よりその時点では原因不明であったのです。その患者の経過は良好で、早期に完治し治療過程において、知覚の回復と共に鍼の刺入時のチクッとした感じが判る様になったのです。本々の私の病院での主な仕事は、脳血管障害の入院患者の治療と外来ですから、末梢性麻痺より中枢性麻痺の患者の絶対数が多く、それゆえ逆に記憶に残っている事となっています。
 現在、末梢性顔面神経麻痺の治療において、こうした顔の知覚の異常も同時にあるという事を臨床をもって理解しています。

 三叉神経の知覚異常が無くとも、知覚鈍麻にさせている要因もある。

 これはいったいどういう事なのか?これは血行不全により、顔周囲の血液の温煦(おんく)作用低下による、皮膚知覚の鈍麻が起きているからだと思われます。末梢性顔面神経麻痺により、顔の筋肉の機能停止が起こりそれに伴って静脈血の流れが悪くなり、うっ血状態が生じる為に、血液の温煦作用(血液が温度を末梢にもたらす)が低下し、局部が冷えた状態になり、知覚も数%ダウンして鈍麻しているのではないかと思われるからです。

  まとめ

 今回のこのお話は、顔面神経麻痺と同時に起こったケースでは、診断上非常に鑑別がしにくいものであるという点です。過去の患者さんの聴取においては、医師から顔面神経麻痺は顔に痛みを生じないという何とも勉強不足な発言も多数聴取しており、水痘ウィルスによる問題では様々な角度からの臨床観察を行うべきであると、私は思っています。神経麻痺した顔面部の動きのみを、外から観察しているだけでは、この様なケースは判らないと思います。



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 こんた治療院 <治療の窓>より抜粋しました。
 毎日、診察の合間にコツコツと執筆しながら早23年が経ちました。皆さんに1つでもお役にたてる事がありましたら、幸いと思いながら、今も尚治療の合間に書き続けている内容です。全国の方から色々な御質問などいただき、毎日心を込めて返信しています。そうしたみなさんの力で、今日まで一生懸命やっていて良かったと思うのは、インターネットのすばらしさの1つだと考えています。

 シリーズ
 顔面神経麻痺を考える

6.1 後遺症各論
<病的共同運動の強調>

7 小児の顔面神経麻痺
:ケア編

8 顔面体操と
顔面の運動は、
やってはいけない

10 顔の痛み 三叉神経痛

21 随意運動と不随意運動

23 やっつけに行く
今回は、
鬼軍曹の
独り言ですか?


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