顔面神経麻痺
 顔面神経麻痺を考える6.1 
 <後遺症各論>
 病的共同運動の強調  こんた治療院

 今回のお話は、小児の顔面神経麻痺からのお話を受けて、なぜ私は低周波や顔の運動をさけるのかを執筆したいと思います。これはあくまで私個人の考えに基づくもので、自分が38年もの臨床経験により持論としての内容です。私の臨床事実として、顔面神経麻痺のみならず総ての麻痺の治療に、電気を使った治療は一切しておりません。特に顔面神経麻痺にはこの病的共同運動を封じ込める為に努力をする事は、治療にたずさわる総ての関係者が研究する必要があると考えています。
 私は小さな治療院でも、こうした考えを持ちながら臨床を続けているというちょっと堅苦しいお話ですが、おつきあい下さいませ。

 小児の顔面神経麻痺治療を参考に、
  大人の病的共同運動の強調を抑制させる。

 先にコンテンツで『顔面神経麻痺を考える7 小児の顔面神経麻痺 ケア編』をアップしましたが、実はこの顔面神経麻痺を考える6.1はその前にほぼ出来上がっていました。しかしながら、私のところへは子どもの顔面神経麻痺の相談のメールも多く寄せられ、何か良いネットでの方法はないかと考えていました。
 私の持論である、病的共同運動の強調予防策として顔の運動や低周波治療をすすめないという事の理由の1つとして、この小児の顔面神経麻痺の回復の仕方にヒントがあります。ではどんなことがヒントになったかを書いてみたいと思います。

 子どもはリハビリなんかろくにやらない!

 ほとんどの子どもは、顔面神経麻痺になると医師からは、「子どもの顔面神経麻痺はすぐ治りますから、様子を見ましょう。」という。実はこれがキーポイント!。確かに医者のいうとうり。子どもはそうした医療を素直に受ける事が難しい。幸いにして子どもの顔面神経麻痺に対する回復力は大人より上である。子どもの実に90%以上はこうしたほっとかれる治療で回復してくるのです。子どもが早期に回復してくる理由については小児編で述べています。
 子どもの顔面神経麻痺の原因で後天性のもので、外傷をのぞけばやはりベル麻痺(ヘルペス1型)が多いと思います。ついで多いと思うのが耳炎性で、ラムゼイハント症候群はいるはずであるけれど、確定診断を受けた5歳児以下は、私は診たことはありません。この耳炎性においては急性中耳炎の子供も、顔面神経麻痺になることが多いのではと思います。なにせ子供の確定診断を受けた治療例は大人に比べて少ないので、この程度しかわかりませんが…。実際の小児の顔面神経麻痺の診察例は、手元にある資料でざっと80例になっています。(令和3年現在)

 子どもは遊びや生活の中でリハビリをする

 子どものリハビリについては、理学療法においてその運動療法は、なかなか大人のやるようには自主的にできるものではありません。療法士がサポートして行う他動運動が主軸になっています。子どもが自主的に動かす自動運動をするとすれば、それは遊びの中で行う動作において自然に行っています。療法士もそうした遊ぶ=自動運動と考えて、リハビリの半分はこうした環境を作って子どもを動かせます。子どもは自分からする行動ならば、すすんで楽しくやりはじめるのです。
 では、顔面神経麻痺についてはどうなんでしょう?。実は、ほとんどリハビリらしい特別な運動はしません。生活に必要な動き意外は休憩時間が長い〜事。でもこれが結果的にいいのです。つまり自然に回復する事が、再生する神経を無理に誘導する事をしなくしていると私は考えています。大人にみられるような症状のひどい病的共同運動が子どもにはみられないのは、こうした事があるのではと、子供を多く診察している私は考えたからなのです。今でもその考えに変更はありません。

 
 大人も顔の運動は無理にはしてはいけない

 無理な顔の運動(自動運動)や顔に行う低周波は、神経の治療ではなく顔の筋肉を動かす目的で行う、いわば筋肉の運動です。つまり神経の治療ではなくむしろ筋肉を使って神経再生をうながすとしたら、病的共同運動を強調するには逆に絶好の方法になってしまうのではと思っています。
 末梢神経は再生する神経です。自分で帰る場所を知っているのです。私達はそれを必要以上に行う事は過剰な刺激になると思ってよいのではと思います。神経の再生スピードは1日1ミリないし1.5ミリのスピードです。これは神経伝達のスピードの3段階中の最も遅い低速の伝達スピードと同じです。しかしながら、臨床上こうした学問上のデーターに匹敵する結果が出ないのは、きっとみなさんも気持がやきもきするところだと思います。もちろんこの私もやきもきしています。

 神経は1日1ミリ再生する根拠はない。
 この話、つまり神経は1日1ミリ再生されるという話は、度々Drから聞かされる様ですが、その根拠を尋ねても、ほとんどのDrからはそう言われているで終わっているはずです。実は、神経という組織は輸送管として物資も運んでいるのです。その物資が1日1ミリずつ前に進む事が分っていて、それを神経再生の時間と照らし合わせただけのものなのですが、私からするとそれを合致させる事は問題が有り過ぎると思います。私自身は、こうした言葉は、患者さんを納得させようとする言葉にはふさわしくないと考えています。麻痺が回復しないと悩んでいる方は、当然この1日1ミリが当てはまらない事に気づいているはずですからね。


 神経回復にあせりは禁物!
  状況に合わせてコンディションを整える

 神経の回復する条件を整える事が、この顔面神経麻痺には必要です。そのためには血行改善策をまず第一に考えます。神経を栄養する血管と血液の流れを保持する事が大切です。ケースによってはこうした血管炎が主な原因で顔面神経麻痺が起こります。多くの場合、神経回復と血管回復の両面を考える事が必要なのです。この事に関してさらに<顔面神経麻痺を考える19 神経回復の条件>で詳しく書いております。
 あとはみなさんの私生活において、できるだけそうした条件を満たす時間をつくてあげられるかという事です。なかなか難しいでしょう?だからそのために私はいるのです。そうした環境を少しでも整える為に、医療として必要な部位には治療をしながら身体全体の疲労をとって回復のためのコンディションを整えてゆくのが私の行っている治療方法なのです。
 多くの医師達は鍼に対する違和感があるようですが、私達の治療はWHO(世界保健機関)が認めた医療です。本当に麻痺を治す為に患部を手でさわって、ひとり一人の顔にふれていますか?理論だけでお薬を処方して細かい話もせずに様子を見るだけの治療をしていませんか?そうした人たちが疑問をいだきながら私達の治療におとづれるのです。重度の麻痺であると無理だといって自分の手から患者を放してしまう。そうした人たちが何をして明日への希望をつなげるか、そうした患者の立ち直る場所が違和感を感じた私達の治療法なのですよ。この気持は私だけのものではありません。そうされた患者さん達の思いなのです。医師と鍼師を結ぶラインはいつになったら良くなるのでしょう。
 私は医師との連絡をよくとるほうだと思いますが、はなから鍼灸師に話してもしょうがないという態度の先生もいます。患者さんのためにが、第一でしょう。それが私たち医療の仕事なんですから。

 顔面神経麻痺を考える6.1のまとめ

 病的共同運動についてのなぜ?に1つ、私の考えを書きました。ヒントは子どもの麻痺の回復の仕方に私の考えがあるということです。しかしながら大人と子どもでは回復の条件が違います。だからこそ医療として手助けをする必要があるのです。その手助けの方法を考える事が医療のために必要だと提案します。もちろんこの私もそうした部分において考えた方法を、治療として行っているのです。
 医術においては10年前に正しいとされた事も、現在では適当でないとされることもあります。私は自分が適当でないと思った事は、なぜ適当でないかを追求しながら今できる最善を捜したいと思います。それは今も尚、私は現場にいてみなさんを治療中なのですからのんびりはできませんね。



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 顔面神経麻痺に関係する執筆内容のページです。是非読んでみて下さい。
 こんた治療院 <治療の窓>より抜粋しました。
 毎日、診察の合間にコツコツと執筆しながら早22年が経ちました。皆さんに1つでもお役にたてる事がありましたら、幸いと思いながら、今も尚治療の合間に書き続けている内容です。全国の方から色々な御質問などいただき、毎日心を込めて返信しています。そうしたみなさんの力で、今日まで一生懸命やっていて良かったと思うのは、インターネットのすばらしさの1つだと考えています。

 シリーズ
 顔面神経麻痺を考える

6.1 後遺症各論
<病的共同運動の強調>

7 小児の顔面神経麻痺
:ケア編

8 顔面体操と
顔面の運動は、
やってはいけない

10 顔の痛み 三叉神経痛

21 随意運動と不随意運動

23 やっつけに行く
今回は、
鬼軍曹の
独り言ですか?


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