損傷度 |
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1度 |
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ニューロ アプラクシア(neurapraxia)と呼ばれる段階で、神経伝導路上の部分的な伝導障害を指すもので、神経本体の受傷は極めて軽度であり、神経の軸索の異常もない。よって神経の再生は行われないし、神経変性もない。
筋肉の動き出し、いわゆる回復に要する時間は数時間、数日、数週といった状態で筋運動が認められ、3ヶ月以内に完全に運動機能が回復するものである。
結果的に何もしないで、自然に麻痺が回復できるものである。
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いわゆるベル麻痺や血管の炎症で起きた神経障害で、発症後2週間以内程度で微弱な筋運動が認められるものです。この損傷度に関しては、完全回復が多いに期待できるものです。この回復に関しては不全麻痺であったと言えるでしょう。
他は外的圧迫による、橈骨神経麻痺、腋窩神経麻痺などもこのケースに相当します。
神経の圧迫や血管の炎症によるものでも、長時間に及び原因の解除ができない場合は、3度の損傷といえるケースもあり、病因だけでは予後の判定は困難である。
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2度 |
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本来axonotmesisとは神経軸索の断裂を意味するが、顔面神経麻痺の原因において、ウィルスの神経を損傷する内容においては、断裂とは言いがたい。神経の内膜や周膜には損傷はそれほど及ばないものである。そのために回復は良い。
筋肉の動き出しに関しては結果的に3ヶ月以内ならば、損傷度1に相当し、3ケ月以上経過しても動きがない場合は、次の3度以上となる。
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神経の軸索が断たれている状態ではあるが、その周りの神経を包む神経内膜、基底膜、神経周膜、神経上膜には問題がないとされる。このケースでは恐らく動き出しは1ヶ月ないし2ヶ月と考えられる。この動き出しに2ヶ月前後経過したケースにも1度の様に完全に回復できたケースも多数あります。
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3度 |
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3度は神経軸索と神経内膜が損傷しているが、神経周膜が保たれている事を意味する。
神経の軸索の再生が不完全な状態で終わるケースが出てくる。不完全とは本来の受容器に神経の再生が到達せずに、病的共同運動などのミスマッチが発生し易い状況である。
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顔面神経麻痺の場合は部分的に動かない箇所が出て来ているものがある。これは比較的太い神経の枝に再生が診られるが、末端に近く細い神経枝の回復が診られないものが多くなってくるからである。局所的には、口(口輪筋)や額、上眼瞼の閉眼不全にその状況がみられる。それと同時に、病的共同運動が診られる状況でもある。
末梢性の顔面神経麻痺の原因でベル麻痺、ラムゼイハント症候群、その他、自己免疫疾患、血管炎などの病因におけるケースでは大凡がここまでの損傷度である。
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4度 |
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4度は外見上には神経幹が存在し、神経上膜は保たれているものの、その内部である神経周膜、神経内膜、基底膜、軸索が大きく損傷し変性が生じているものであり、神経回復は認められないために、外科的な処置(神経移植術)を勧める段階である。
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外科的処置における聴神経腫瘍、耳下腺腫などのopeで顔面神経を温存する手術の結果で、神経再生(筋運動の動き)が全く見られないケースがこの4度になります。
5ヶ月がその目安の1つとなるだろうと考えています。
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5度 |
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5度は神経組織の肉眼的断裂が確認できるものです。nurotmesis。
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外科分野にての処置が主である。神経腫においては軽度から重度まであるが、このケースは重度である。
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