肩こりを考える 総論

 肩凝り(かたこり)は我々の日常の疲労のたまものと考えています。
 肩凝りは、その言葉どうり肩に発生する筋肉が硬くなる(筋緊張)現症です。この症状は皆さんが体験した事が多いと思います。単純にその状態を説明すると血液の鬱血(うっけつ)という説明がよく雑誌やホームページで紹介されますが、鬱血する原因については複雑なものがあります。例えば、整形外科、内科、婦人科、眼科、歯科などの方面からも肩凝りの原因について解説の仕方が違ってくる事があります。また服薬や栄養学などの面からも、いろいろな説明がなされている事に気がつきます。そのため自分の肩凝りはどのタイプか迷ってしまいます。今回はこの肩凝りについて考えてみましょう。

原 因

◎肩凝りの原因を様々な方面からみてみましょう。この原因については年齢的要素や、職業別(作業)、生活環境などがそれぞれに照らし合わされます。

 大きく分類してみます
肩こり
 原 因
急性

 徹夜などによる睡眠不足、風邪の直後、不慣れな作業及び運動などで急激に血行が妨げられるために起こる。

慢性

 労作による肉体疲労、受験勉強、OA機器(パソコンなど)の長期使用、各種疾患の影響(反射)など原因の除去が困難な場合にその結果として肩凝りが生じる。

 さらに具体的に、詳しく科目分類すると
各科方面
    原   因
整形外科

 頚椎の変形、ムチウチの後遺症、脊椎側弯症、筋組織の老化現象などの原因で肩凝りが出現。

内 科

 更年期障害、自律神経失調症、※高血圧、うつ病、ヒステリー、各疾病の反射(胃潰瘍など)。

婦人科

 妊娠・出産による体力の低下、生理不順や内分泌による変化など。

眼 科

 眼精の疲労、視神経の疲労、近視・乱視・老眼、その他各種眼科疾患の影響により肩凝りが生じる。

歯 科

 顎関節および噛み合わせを構成する筋組織などの不具合により肩凝りが出現。

栄養学科

 ビタミンB12などビタミンの不足やダイエットによる栄養不足、過食による肥満からの影響など。

その他

 ストレス全般、生活習慣(衣食住)、遺伝的要素、運動不足、長期のベット生活、季節の変化 など。

※内科において高血圧とありますが、単なる肩凝りと間違えやすく、血圧が変化を起こすとその受容器が筋緊張として反応します。その受容器が肩と背中に密集しているために血圧が変化すると首や肩が硬くなるのです。ですからこの場合は病的反応として認識し、特に肩凝りと区別しなくてはなりませんが、実際のところ自覚的な感覚として患者さんの受ける印象は肩凝りに近い症状の為、上記に記載しました。これを機会に一般的な肩凝りとの違いを認識していただければ幸いです。

 ◎原因についての補足

 上記に挙げた原因は主だったものだけですが、現在みなさんがTVや新聞、ネットや情報雑誌などで肩凝りについては、その方面の立場から様々な角度から肩凝りを考えています。またその解消法も各方面で紹介されています。しかし実際に診察をしてみると、幾つもの状況が重なりあっています。
  例えば女性で新卒の場合、慣れない仕事により眼精疲労を引き起こしたり、精神疲労も重なり生理不順や栄養不足、また栄養過多などの場合も考えられ、肩凝りの原因は複数です。また両親が肩凝りがひどくて、わたしも最近肩凝りが辛くなってきた。という場合は遺伝的要素も関与してきます。遺伝的要素とは、ここでは広い範囲を指し、骨格や血管などにも繁栄しますのでその要因もあるでしょう。このように、人ひとりにしても肩凝りの要素がたくさん見受けられます。つまり肩凝りは、複雑な要素が絡んでいる事が多いということです。
 原因については、その全部を解消する事は非常に難しい事も同時に理解できます。仕事による疲労ならば、仕事をやめれば治るか?といえば社会的には簡単にゆくものではないでしょうし、大事なものまで失ってしまいます。そのため私たちは少しでも快適に過ごせるように、自分の体調を整える努力を日頃からしておく必要があると思います。


 肩凝りを例えると…。

 私の意見ですが、単純な疲労からくる肩凝りを人間の生活で例えると、家の中のホコリのようなものと考えています。家の中では生活をしなければなりません、当然ゴミやほこりがでてきます。しかしいくら掃除しても、またホコリやゴミが増えて行きますよね。肩凝りも同様に治療しても、疲労がたまるとまた肩が凝ってきます。生活しているとホコリがでる、生きていると肩が凝る。やはり肩凝りは、生活から生まれてくる産物なのではないでしょうか。ここは一つ毎日を快適に過ごす為に、家のお掃除同様に定期的に身体のお掃除もした方が良いと思いませんか。私は毎日でも治療して欲しいと思っていますが…。


 一般的に言われる肩凝りで、男性と女性の違いをみてください。

 女性の肩凝りの場合

 女性の場合の肩凝りは、特に肩凝り単体で訴える人より、吐き気や頭痛を伴う人が圧倒的に多いです。この事は女性特有の肩凝りとして、私は男性と区別して考えています。
  女性の肩こりは、更年期と重なる部分があると思われがちですが、実は受験期の10代の女の子にも同様の訴えを起こし来院しています。昔から女性は『血の道』と呼ばれるくらい、生理が始まるとその言葉通り、男性には理解しにくい不安定な体調が出現します。
  生理になるとイライラする事などは精神的にも充分なほど影響を受けてきます。
  しかし病院などで体調不調を訴えても、身体異常は特に見当たらずに肩凝りからだと指摘されている女性がたくさんいます。

 男性には、女性への理解を是非お願いしたいですね。

 この様な症状は男性には理解しにくいものではありますが、男性がもっと理解する努力をしなければと思っています。生理の時に身体を動かそうとしても、なかなか普段どうりにはいかない、思いどうりに行かない事に一番辛い思いをしているのは女性本人です。その事も含めて、 私は女性の生理休暇は取るべきと考えています。しかし現実には難しいようです。女性のプライドもありますし、職場の事情もありますが、やはり男性は職場においても女性の存在を尊重し、休暇を与える事やせめて半休などで体調を整える気遣いは必要だと考えています。生理休暇は気遣い休暇ではなく、堂々と取れる女性の為の女性の特権休暇として企業に繁栄されると良いと思います。最近では頭痛休暇をとれる企業が出てきた様です。たしか製薬会社の様でしたが…。

 家庭での有力なサポーターは御主人です!

 女性は、上記に掲げた理由などから体調不和により、肩凝りが出てくる事が充分考えられます。 また、ご家庭でも夫は奥さんの体調を気遣う事も必要です。奥さんはいつまでも元気でピンピンしてると思っている旦那さんが多いと思いますが、夫としてサポートすることは『具合が悪い時は病院へ行けば』という言葉ではないと思います。奥さんの体調の悪い時は早めに休ませてあげることで、結果的には無闇に薬を飲んだりしないで済む事も多く、女性の身体を気遣う事になると思います。主婦業は立派な生業(なりわい)です。しかし休日としては年に数日あるかないかです。調子の悪い時は例え数時間でもはやく今日の主婦業を終了させてあげましょう。また、夫から『今日は早く身体を休めて体調を調えた方がいいよ。』と一言いってあげると、服薬しなくても服薬したような良い効果がありますよ!。
 こうした事で始まる女性の肩凝りは、男性には理解し得ない部分から始まると思いますし、精神的にも身体的にもやはり違った原因が存在していると感じています。科学的にどうのという事より、何かと 変化の多い身体を持っている女性特有の肩凝りと考えてみるのも必要だと思います。


 男性の肩凝りの場合

 男性の場合の肩凝りは、一般的に肉体的疲労が前面に出てきています。もちろん事務的仕事や、もちろん対人関係の気遣いによる精神的疲労もストレスとなって 肩凝りに加算されてきますが、女性ほど吐き気や頭痛を伴う人は、一般的肩凝りではそれほど多くはありません。寝不足や飲み過ぎなどの疲労も手伝っている人もいるようです。肩凝りというより全身疲労が訴えにあって、特に肩が辛いという感じです。

 体力低下がある

 通勤の疲れもやはり理由の一つにあげられます。若い時にスポーツマンでならした人も、会社に入社したりすると運動不足になり、身体を動かす機会を失い、脂肪という名前の重い鎧(よろい)を着けるようになります。すると疲労がたまりやすく、疲労がとれにくい条件がまた一つ出来てしまいます。そのため会社へ行く時も、会社から帰っても常に疲れた状態にあるという事です。このような状態ですと家に帰ってからは、リラックスというより虚脱感に近い脱力が生じてきます。家に帰って何もしたくないと思う理由の一つはこの為だと思います。生活習慣病などはこういう生活の繰り返しで生まれてきます。病気になる前に打つ手といえば、軽い運動(ウォーキングなど)から始めて暴飲暴食を避けながら充分な睡眠をとるなどして肉体をリフレッシュし体力低下も防ぎましょう!。

 男性の肩こりの注意点として!

 特に男性で激しい頭痛がして首や肩が急に張ってきたという人は、すぐに医師の診察をお勧めします。というのはクモ膜下出血の前兆症状として、激しい頭痛が起こるからです。これは女性の場合も同様ですが。この激しい頭痛は、今まで経験した事のない頭痛で割れるような痛さとの事です。また首や肩が急に張ってきたというのは、血圧の変動による項部硬直(こうぶこうちょく)状態で、一般にいう肩凝りとは違う事が考えられるのです。
 男性は女性にくらべて医者に受診するタイミングが遅いと言われます。平日に会社を休んで病院へ行く事を、嫌うからだと思いますが、さらに通院が面倒臭い事や市販の薬などでまずは対応してみようとして手当てが遅れるケースがあるからです。実は私自身もはずかしながら同様です。しかし上記の様なケースでは命を奪う重大な病気が考えられます。女性ならばそれは一般的な肩凝りだと思いがちですが、突発的でしたら安易に考えずにまずは医師の診断を受けるべきだと思います。その上で問題がなければ、まずは安心して各種療法を受けることができます。女性も男性もお互いに気遣いあう事が、何かと大切であると思います。毎日私は、『たかが肩凝り、されど肩凝り』といつも痛感しております。

『肩凝りを考える』の各論を作成しましたので、是非ご覧下さいませ。


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