顔面神経麻痺
 顔面神経麻痺を考える9 
 顔の表情    こんた治療院

 あまりにもその無謀な指導には、絶句しています。その無謀な指導とは、「顔面神経麻痺になったら、普段でも表情を作ってはならない、ポーカーフェイスでいろ!」という指導です。
 こんたは、この発言に対して、断固反対いたします。私が言い続けているのはどういう事なのか?もしもそうした指導の下にポーカーフェイスを続けている人がいるのならば、このコンテンツが参考になればと思い、緊急アップです!

 顔の無理な運動とは故意に連続した運動を指す

 私のコンテンツで共同運動について少数ではありますが、その問題点等を指摘しておりますが、従来の顔の体操やリハビリについての問題点を医学的理念と臨床的概念に基づいて考えています。
 その考えの中で顔の体操、リハビリは正確な運動を呈さない、つまりトリックモーションであるという事を書いております。トリックモーションは代償性運動ともいい、従来の正確性を欠いた動きとも書く事ができます。
 ですから、その動かない顔の筋肉(表情筋)に対する運動は、骨格筋(関節を介して運動できる)でないが故に正確な運動ができないという事です。こうした無理な運動を連続で続ける事は、さらに共同運動を強調する問題があると指摘しての内容です。

 生活における表情はむしろ自然に!
 神経の伝達のお話から

 みなさんは、アニメ「アルプスの少女ハイジ」のお話は御存知でしょうか?私はこのハイジに出てくる、クララのお話を例にとって、神経伝達のお話をする事がしばしばあります。このクララは車椅子に乗った少女ですが、長い間、両下肢が麻痺して使えずにいたところ、主人公ハイジの心の叫びによって、自らを奮い立たせながら立って歩くという1シーンのお話をピックアップします。
  このクララの下肢への神経はすでに完治していたのですが、当時にはリハビリという概念もなく、こうした人たちが多く、この物語は奇跡的にという設定ですが、現在の医学的リハビリにおいては受傷後、リハビリテーションプログラムが組まれて、予後も良い人も多くなりました。
 この様に、神経麻痺を呈する疾患の場合には、神経回復治療のポイントとして、動かない神経に対しても伝達経路を意識させたリハビリテクニックが使われます。動かない足に対しても、他動的に動かしながらも患者に対しては足のポイントをタッピンク(軽くたたく)したりしながら、常にどこに意識を持ってゆくかという事を指摘しながら運動療法をします。これが中枢神経(脳や脊髄)から末梢神経への神経伝達を促す行為なのです。
  おさらいをすると、こうしたクララの様に神経は回復しているとしても、長い間、神経の伝達という事がされていない神経は動かないという事なのです。だから理学療法士が手掛ける神経麻痺のリハビリテーションは、そうした動かないと知っていながらも、イメージによって神経の伝達作業をしているのです。アニメのお話からでしたが、昔はリハビリという概念も浅く、現在ではこうした治療を行う事で回復に向けたアプローチをしているのだというお話です。

 ポーカーフェイスは神経伝達を阻止するに値するものであり、顔は自然でいいのです

 では、共同運動を恐れる事でポーカーフェイスを維持しているリスクとはどんなものか?まずは心の問題に直面するはずです。
  自分の感情を押さえ込む=ポーカーフェイスですから、あなたの気持の表現が何一つできなくなります。すると、ただでさえこの顔面神経麻痺がうつ症状を招き易い健康状態なのですから、こうした感情を押さえること事体が鬱(うつ)への扉を開いてしまいます。仕事や生活の中で数週間から数カ月もこのような状況でいること事体が異常であると考えるべきです。顔面神経麻痺になり、同時に心療内科にもかかる人も多いのに、こうした誤った指導により、さらに感情を表現できない立場に追い込むことはナンセンスと私は強く感じます。
 ポーカーフェイスは神経伝達を阻止するに値するものである。伝達がされない神経は完治しても動きがとれないことは上段で書いたとおりですが、この表情筋は感情を表情に表す特殊な機能を持っています。つまり自分の思う気持が表情として表れるのですから、ポーカーフェイスを上手に意識できているという状況では、そこからの離脱が非常に難しいことは心療内科の専門医師ならとても理解していただける困難な状況であると思います。
 『では、そろそろポーカーフェイスを解除して笑って下さい。』とでも言って、表情筋を活動させるのでしょうか?私にはこうした治療は理解できない。こうした状況下で、すぐに笑える人は一人もいないと思います。きっと恐くて顔を動かすことができなくなっているはずです。長い間感情を抑えていると、顔なんて動かすことができない事が解らないのでしょうか?人は機械の様に簡単に機能を停止させ、すぐに動くものではありません。
 リスクとして心の問題、神経伝達の問題、その後のフォローアップの問題をどの様に解決してゆくのか私には、ポーカーフェイスを単に共同運動防止策として推奨する意味が理解できないことです。

 私の指導は、顔から意識を無くすという指導。

 私の指導は、顔は自然に過ごすことをお話しています。たいがいの人は私のところへ来る前に、顔の体操やリハビリ等を指導されてきますので、そうした習慣からの離脱をはかるために、まずは気にせずに顔から意識を取り去ることから指導してゆきます。
  鏡を見て顔を作ったりという事を指導されてくると、普段の生活でも口や目を強く閉じたりするようになりますので、こうした故意にする動作の習慣化を防ぎます。至極普通に生活すればそれで良いのです。お友達と会話して笑ってもなんら問題は生じません。顔の運動の連続した習慣化がなければそれで問題はないのです。
 自然な状況は神経伝達を促進させるはずです。まずは心をリラックスさせながら、ゆっくりと自分の明るさを取り戻しながら、ぼちぼちとやってゆくつもりで気持を落ち着けてゆく事が大切です。
 そうして行くうちに段々と、顔の事が気にならなく時間が増えてゆきますので、そうした時間が大切なのだと言う事です。そうして顔の事を忘れている時間が増えれば、もう顔から意識を無くすなんて事は考えなくともよいのです。それがとても良いリハビリであると考えています。
 このコンテンツだけを読んでいる方は、是非に顔面神経麻痺を考えるの総てのコンテンツをを読んで下さいませ。私の考えを細かく載せてありますので、そこからも今回の内容が浮かんでくると思います。

 ホウレイ線のお話

 ホウレイ線の話はまた詳しく記載しなければと思いますので、今回はまず顔から意識を無くし普段道理の表情で過ごす事が大切であるとお話ししておきます。

 ◎顔面神経麻痺を考える15 ホウレイ線をupしました。なぜ?ホウレイ線が濃くなってくるのかを説明しています。



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 顔面神経麻痺に関係する執筆内容のページです。是非読んでみて下さい。
 こんた治療院 <治療の窓>より抜粋しました。
 毎日、診察の合間にコツコツと執筆しながら早23年が経ちました。皆さんに1つでもお役にたてる事がありましたら、幸いと思いながら、今も尚治療の合間に書き続けている内容です。全国の方から色々な御質問などいただき、毎日心を込めて返信しています。そうしたみなさんの力で、今日まで一生懸命やっていて良かったと思うのは、インターネットのすばらしさの1つだと考えています。

 シリーズ
 顔面神経麻痺を考える

6.1 後遺症各論
<病的共同運動の強調>

7 小児の顔面神経麻痺
:ケア編

8 顔面体操と
顔面の運動は、
やってはいけない

10 顔の痛み 三叉神経痛

21 随意運動と不随意運動

23 やっつけに行く
今回は、
鬼軍曹の
独り言ですか?


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