それは鍼治療した後に生じる、麻痺側の皮膚の温度の上昇、皮膚の張りと微弱な筋緊張、涙の量、その他多数、などにその答えがあります。そしてその状態は、不全麻痺なのか完全麻痺なのかを見極める事にも役に立ち、私にとっては非常に参考になる結果を治療直後に確認できます。更に私はその確認の為にも、鍼治療の直後にマッサージを施し、施術した部位の状況を自分の手で確かめて、その状態のランクを自分に記憶してゆきます。
皆さんには、なぜ?記憶するのか?患者さんに話を聞かないのか?という疑問があるでしょう。その答えの1つとして乳幼児または言葉の使えない小児の診察には、自身の触診診断能力を使う事が臨まれ、その評価は自身の持つ経験からの高い診察能力を問われ、触診の評価は1つの根拠を持つ事柄であることが解ります。そして、記憶を頼りにその触感をランク別に分けてゆくのです。
また、もう1つの答えとして末梢性の神経麻痺の場合の評価法における神経の回復の評価は、筋肉の運動がなされているかどうか?に着目点がおかれているために、筋肉の動き出す前の外見での所見評価は総て0(ゼロ)評価な為に、筋電計計測で補いをつけています。
私には筋電計を操る事ができないので、自分の触診に頼るのみです。という訳で、カルテには事実上は動き出す前の神経そのものの状況は、筋電計の数値しか書けないのが現状ですから、記憶としての価値を高める事は私にとって絶対の条件になります。
また、そうした神経の回復状況に着目して触診を重ねていない場合、ただ外から診察して動いているのかいないのかだけを診ていては、みなさんの一番気になる
何時動くのか?など一番知りたい事は、教科書どうりの一般的な回答で終わりです。
現代の医療において、こうした触診の技術を磨かずに、ただ診るだけ、ただ鍼を刺すだけの治療では、患者さんを単に多くさばいているだけで自分の本当の経験値を上げる事にななりません。多くの患者さんが臨んでいる事は、自分の場合どうなのか?を担当の先生に聞きたいに決まっています。
そのために先生という職業があるのですから。